座談会「パリ映画生活」(その2)
2.パリでの生活

堀:久保君はもうパリの生活にはすっかり慣れたようですが、いざパリに来て生活を始めてみたときには、いろいろと戸惑うこともあったのではないかと思います。久保君はパリの13区、その中でもいわゆる中華街に住んでいるんですよね。

久保:はい、13区にある中華街に住んでいます。中華系のスーパーや中国料理店がたくさんあります。中華系のスーパーでは日本のお米に近い米や味噌、醤油、インスタントラーメンや海苔など日本人になじみ深いものもたくさんあり、その面では非常に助かっています。

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# by eizoubunka | 2011-02-09 06:02
座談会「パリ映画生活」(その1)
座談会「パリ映画生活」を、6回に分けてお届けします(出席者:久保幸治、窪友里、堀潤之)。

1.留学に至るまで
2.パリでの生活
3.パリからヨーロッパへ
4.パリにおける映画の研究と教育
5.映画を見る環境
6.映画三昧の日々

はじめに

窪:この座談会では、現在パリに長期滞在中の久保君と堀先生に、映画を中心としたパリでの生活についてざっくばらんにお話しを伺いたいと思います。司会は、大学院の同期である窪が務めます。まず、ごく簡単に自己紹介をお願いします。

久保:関西大学大学院文学研究科総合人文学専攻映像文化専修M2の久保幸治です。日本では堀先生のゼミに所属し、主にフランス映画について勉強・研究をしています。修士論文では、フランスの映画監督ロベール・ブレッソンについて書きたいと思っています。2010年9月から、関西大学の交換留学制度を利用し、パリ第3大学の映画・視聴覚研究科に1年間交換派遣留学をしています。フランスに来たのは二度目で、大学2回生のとき、アンジェに約1ヶ月留学したことがあります。

堀:わたしは関西大学文学部の映像文化専修というセクションで、フランス映画を中心とする映画史・映画美学を講じています。2010年4月から大学から在外研究の機会を得て、1年間パリに来ています。2001年から2003年まで、久保君と同じパリ第3大学の映画・視聴覚研究科の博士課程ーー当時は、その初年度がDEAと呼ばれていたわけですがーーに留学していたので、およそ6年半ぶりのパリ滞在になります。今回はパリ第3大学ではなく、レイモン・ベルール氏にお世話していただいて、CNRS/EHESSのCRAL(諸芸術と言語についての研究センター)という組織に籍を置いています。

窪:申し遅れましたが、私は同じく堀先生のゼミに所属するM2の窪友里です。修士論文ではベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972)を取り上げました。久保君とともに、映像文化専修の大学院一期生です。

1.留学に至るまで

窪:さて、久保君がパリに行ってからもう半年近くが経とうとしています。そもそもどうしてパリに留学しようと思ったんですか?

久保:修士論文をロベール・ブレッソンについて書こうと思っていたので、フランスの方が当然資料がたくさん揃うと思ったのがまずあります。実際、こちらに来て学校や図書館、本屋・古本屋などで関連の本や雑誌などの資料が日本より容易に手に入ります。1950年代に出版されたブレッソンに関する本も、さっそく古書で入手しました。また、書物などを通じて聞き知っていたパリの映画文化の豊かさを実際に体験したかったということも理由にあります。さらに大学院入学前の時点で、留学をするなら同時期に堀先生がフランスにいらっしゃるかもしれないということを伺っていたので、それも留学を決意する後押しになりました。

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# by eizoubunka | 2011-02-09 06:01
舩橋淳監督講演会参加記
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編集委員の怠惰のせいで大変時間がかかってしまいましたが、
関西大学映像文化専修の学生が先日行われた舩橋淳監督講演会の参加記を書いてくれました。

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# by eizoubunka | 2010-07-17 21:52 | コラム
舩橋淳監督講演会「『谷中暮色』 あるいは現代映画の限界」のお知らせ
f0063881_1623291.gif関西大学文学部学術講演会を下記のように開催します。どうぞご参加ください。
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『谷中暮色』 あるいは現代映画の限界

  舩橋淳監督(聞き手 門林岳史/関西大学映像文化専修)

  日時:5月18日(火)13:00~14:30(事前予約不要)
  場所:関西大学千里山キャンパス第1学舍1号館A401教室
     (阪急千里線関大前駅下車徒歩10分)
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詳細
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# by eizoubunka | 2010-05-13 18:00 | 専修からのお知らせ
井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その4)
f0063881_1624361.gif井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その4)「7.素人俳優とプロの俳優」、「8.『LEFT ALONE』の編集作業」、「9.音楽の使い方」をお届けします。本インタビューは今回で最終回となります。

本文
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# by eizoubunka | 2010-05-12 11:06 | コラム
井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その3)
f0063881_1624361.gif井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その3)「5.『ラザロ』三部作」、「6.「ギザ十」的な風景」をお届けします。

本文
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# by eizoubunka | 2010-05-12 11:05 | コラム
井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その2)
f0063881_1624361.gif井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その2)「3.『百年の絶唱』」、「4.『LEFT ALONE』」をお届けします。

本文
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# by eizoubunka | 2010-05-10 16:10 | コラム
井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(その1)
f0063881_1624361.giff0063881_2134394.jpg関西大学映像文化学会ニューズレター創刊号に短縮バージョンを掲載しました井土紀州監督インタビュー「野蛮な映画に向けて」(聞き手:堀潤之)の全文を数回に分けて掲載します。今回は「1.上京からアパートまで」、「2.瀬々敬久監督とシナリオ執筆」をお届けします。

本文
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# by eizoubunka | 2010-05-07 14:57 | コラム
関西大学映像文化学会blogリニューアル・オープン!
f0063881_161656.gifこれまで関西大学文学部総合人文学科映像文化専修ブログとして運営してきた本ブログは、この度関西大学映像文化学会ブログとしてリニューアルすることになりました。関西大学映像文化学会は、関西大学映像文化専修の教員および学生有志で運営されている学会です。今後も本ブログは映像文化の交流の場として、関西大学映像文化学会主催イベントの開催情報のほか、関西大学映像文化専修スタッフ関連の情報、関西圏での映画上映情報、学会員によるコラムなどを発信していきますので、ときおりお立ち寄りいただければ幸いです。
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# by eizoubunka | 2010-04-20 18:23 | 専修からのお知らせ
レイモン・ベルール講演会のお知らせ
 ヨコハマ国際映像祭2009の招聘で来日するフランスの高名な映像理論家レイモン・ベルール氏が、早稲田大学(東京)と関西大学(吹田市)で講演を行います(講演内容は同じです)。
 サイレント末期のドイツ・ドキュメンタリー映画の傑作『日曜日の人々』(ロベルト・ジオドマク、エドガー・G・ウルマー共同監督、1930年)に現れる「画面静止」の瞬間を手がかりに、映画と写真の相関について論じます。

講演題目:映画と写真の出会い——『日曜日の人々』における不確かな2分間
講師:レイモン・ベルール(フランス国立科学研究センター名誉研究主任・雑誌『トラフィック』編集委員)

(東京)
日時 2009年11月4日(水) 15時〜17時
会場 早稲田大学文学学術院(戸山キャンパス)第一会議室(プレハブ校舎2階)
主催 早稲田大学、早稲田大学演劇映像学会

(関西)
日時 2009年11月9日(月) 16時20分〜18時20分
会場 関西大学(千里山キャンパス)第1学舎1号館A401教室
主催 関西大学(関西大学招へい講演会)、関西大学映像文化学会

協力 ヨコハマ国際映像祭2009
通訳付き 入場無料・予約不要

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# by eizoubunka | 2009-10-16 19:03 | 各教員からのお知らせ
ヨコハマ国際映像祭2009
 ヨコハマ国際映像祭2009のフォーラム部門で、10月31日(土)に、レイモン・ベルールによる基調講演「35年後 ── 「見出せないテクスト」再考」、およびベルールを囲んでのラウンドテーブル「装置間の争い ── 映像メディアの混淆とその体験」が行われます。

 また、11月1日(日)には、レフ・マノヴィッチを囲むラウンドテーブル「ハイブリッド・メディアとは何か? ── ソフトウェア時代の映像表現」が行われます。

 他にも、諏訪敦彦、ジャン=シャルル・フィトゥッシ、クリス・チョン・チャン・フイ、藤幡正樹によるセッション「映像の日常化 vs. 映画の衰退?」、フランコ・ベラルディ、酒井 隆史、キム・カン、ゾーエ・ロマーノ、成田圭祐、櫻田和也によるセッション「ソーシャルメディア ── 社会をひらくメディア/媒介する社会」、ザヴェン・パレ、エマニュエル・グリモー、港千尋によるセッション「人間らしさの秘密 ── 肖像、視線、追跡可能性」が行われます。

 詳しくは、以下の情報、およびフォーラムのホームページをご覧ください。

■10月31日(土)

13:00 - 14:30
【基調講演】35年後 ── 「見出せないテクスト」再考
レイモン・ベルール(文学・映画・映像研究/CNRS[フランス国立科学研究センター])

映画・映像研究の重鎮が示唆する、映像芸術の過去と現在。フォーラム全体への導入となる映像論。

概要:
ベルールは1975年に発表した論考「見出せないテクスト」で、文学の場合とは異なり、言葉による完全な引用が原理的に不可能な映画のテクストを「見出せないテクスト」と名づけた。それから35年後、映画のテクストがとりわけDVDによってかつてよりは「見出せる」ようになった一方で、1990年代以降の現代美術シーンに多くみられるようになったさまざまな映像作品が、新たなる「見出せないテクスト」としてわれわれを魅了し続けている。マイケル・スノウ、ビル・ヴィオラ、アニエス・ヴァルダ、ダニエル・ヴァレ・クレネール、ジェームズ・コールマンらの多彩な実例をもとに、現在の映像体験が一体どのような状況にあるのかを探る本フォーラムへの導入。


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15:00 - 16:30
【セッション 1】装置間の争い ── 映像メディアの混淆とその体験

パネリスト:
レイモン・ベルール(文学・映画・映像研究/CNRS)
武田 潔(映画研究/早稲田大学)
トロン・ルンデモ(映像研究/ストックホルム大学)

ナビゲーター:
堀 潤之(映画研究、表象文化論/関西大学)

基調講演で示されたテーマを巡るラウンドテーブル。ヴィデオ・インスタレーションや映画などを中心に、映像を巡る世界で今何が起きているかを理論的に考察。

概要:
映画をはじめとする映像作品がかつてなく多様化し、混淆している現在、映像を見るとはどのような体験なのか? 映画館や、美術館や、DVDや、インターネットといった映像を見るための各種のコンテクストは、映像作品の体験とどのように関わっているのか? 基調講演で提示された論点を、映画論・映像論のフロンティアで活躍するパネリストたちがさらに展開します。

■11月1日(日)

14:00 - 16:00
【セッション 3】ハイブリッド・メディアとは何か?── ソフトウェア時代の映像表現

パネリスト:
レフ・マノヴィッチ(アーティスト、理論家/カリフォルニア大学サンディエゴ校)
久保田 晃弘(アーティスト、理論家/多摩美術大学)
北野 圭介(映画・映像研究/立命館大学)

ナビゲーター:
堀 潤之(映画研究、表象文化論/関西大学)

アーティストや理論家として、それぞれのシーンで活躍する識者を招き、ソフトウェア時代における映像表現の可能性を探る。

概要:
 ニューメディア研究の起爆剤となったレフ・マノヴィッチの『ニューメディアの言語』(2001)からはや8年、映像制作を取り巻く環境はさらなる変貌を続けています。とりわけ、これまで分け隔てられていた各種のメディア・テクノロジーがシームレスなソフトウェア環境に統合され、その結果、映像表現はかつてなく「ハイブリッド」なもの
となっています。さらに、処理速度の指数関数的な増大や、ソフトウェアを介した動画・音楽配信などを考え合わせると、映像制作のインフラストラクチャーは1990年代と比べてさえ様変わりしたと言えるかもしれません。
 メディアからポスト・メディアへ、メディアの固有性から生成的なソフトウェアへ、スタティックなデータから可変的なアルゴリズムへ。こうした状況をふまえて、映像表現の今日をさまざまな視点から論じ、その未来を大胆に予測してみたいと思います。
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# by eizoubunka | 2009-10-16 13:41 | 各教員からのお知らせ
「アジアスクリーニングフォーラム2008」のお知らせ
 近畿経済産業局が主催する学生や若手の人材育成のイベント「アジアスクリーニングフォーラム(ASF)2008」が、以下の要領で開催されます。

日時 : 2008年10月29日(水) 13時から18時
場所 : 大阪中央区のマイドームおおさか
参加費: 無料

 「マスコミ」、「写真」、「起業」、「映画」等の分野でさまざまに活躍しているプロの方々を講師としたセミナーも開催されます(少人数制の座談会形式)。

 興味のある人は、下のサイトで詳細スケジュールを確認のうえ、参加してみてはどうでしょう。

アジアスクリーニングフォーラム2008のサイトはこちらです。
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# by eizoubunka | 2008-10-24 01:04 | 専修からのお知らせ
『The ショートフィルムズ』鑑賞記
 朝日放送の新社屋完成を記念して、7月中旬に、阪本順治・井筒和幸・大森一樹・李相日・崔洋一の5人の監督によるオムニバス映画『The ショートフィルムズ』が公開されました。以下に掲載するのは、映像文化専修3回生のIさんによる鑑賞記です。



 映画が始まる前のわくわくした感じは何ともいえないものです。会場に集まった人がこれから始まることに期待している。そういう場所に自分が居れたことが嬉しかったです。「子供」がテーマというショートフィルムたち。最初は「子供」で感動を誘う様な、ありがちな作品じゃないかと高を括っていた気持ちもありました。そんな気持ちは上映が始まって少しの間で裏切られるのですが。5作品が揃った、この『The ショートフィルムズ』。どの作品も、それぞれの個性が光っていてさまざまなアプローチがありました。監督の想い、役者の気迫…多くの要素が合わさって完成した作品たち。真剣な眼差しがどれもこれも、それぞれにステキでした。

 会場に時々笑いが沸き起こり、嬉しさや悲しさを抱き、感動の空気が重なり合う。その空間がとても心地よかったです。何かが大きく変わるわけではないかもしれないけれど、この作品たちをずっと忘れないでいたいです。『The ショートフィルムズ』との出会いに感謝です。

 阪本順治監督の『展望台』は死を決意したおじさん(佐藤浩市)と、親に見捨てられた少年(小林勇一郎)が夜の通天閣で一晩を一緒に過ごします。「なんでなん、なんでやねん」という瞬間が何度も訪れて、少し切ない場面もありました。作品中、ずっと同じ場所で話が進んでいくので少し舞台劇を思い浮かべる感覚でした。大人に教わる子供と子供に教わる大人、お互いが飾らないから寄り添えた暖かい作品でした。登場する、少年が良い味を出していました。

 井筒和幸監督の『TO THE FUTURE』はとある小学校が舞台。個性がバラバラな生徒たちがそれぞれに成長している様子が分かります。今、話題のモンスターペアレンツやモンスターティーチャー(光石研)が登場し、ドタバタ劇が繰り広げられます。子供は大人びた面を持ち、冷静。ワーワーわめく先生や親の方がよっぽど子供っぽく見えました。笑えないユーモアも入れるところが大胆で井筒監督らしさが出ていました。賑やかな作品でした。

 大森一樹監督の『イエスタデイワンスモア』は五作品の中では一番現実離れをしている作品だったように思います。子供(佐藤隆太)が母(高岡早紀)のために奮闘する『浦島太郎』を髣髴させるお伽噺です。このお話では玉手箱が登場して、ある少年が急に歳をとるシーンがあるのですが。現実には玉手箱はないし、急に歳をとることも若返ることもできません。だけど、お伽噺は大人の心も子供の心も動かせる力を持っています。子供は急に大人にはなれないし、大人はもう子供には戻れない。時間の大切さが伝わってきました。

 李相日監督の『タガタメ』は5つの作品の中で一番シリアスな作品でした。医師にあと三ヶ月の命だと告げられた初老の男(藤竜也)には、知的障害を持った息子(川屋せっちん)が一人いるという設定です。息子のために生きたいと願った男の切ないお話でした。ハッピーエンドと呼んでいいのか、そうとは言えないのか、難しい結末でした。シリアスな物語の中に少しユーモラスな死神(宮藤官九郎)を加えることで、作品にメリハリが見られました。男の死は刻一刻と迫り、観ている方もどうにかならないかと思い胸が苦しくなります。全く同じ状況でなくとも、現実にも解決できない問題がたくさん溢れていることに気づかせてくれました。

 崔洋一監督の『ダイコン~ダイニングテーブルのコンテンポラリー』は日常的で愛くるしい作品でした。ワイドショーや新聞を見て独り言をつぶやく母親(樹木希林)、のほほんとした老後を送っている父親(細野晴臣)、実家に戻ってきた娘(小泉今日子)。ダイニングテーブルを囲むそんな家族は、気持ちが通じ合ってないように見えるのに、バランスがとれている感じが笑えました。突然とびだす娘のギャグも母親の口走る独り言も、気の抜けた父親の表情も愛らしくておもしろかったです。登場する人物の行動や言動はどことなく冷めていて、飾らない「家族」という表現がされているなと思いました。何よりも、遠まわしに環境問題について語っているところは見逃せません。
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# by eizoubunka | 2008-07-31 10:24 | コラム
パリ留学記
パリ留学記
松本吉弘


 私は現在関西大学の交換留学制度でパリ第3大学に通い映画を研究しています。早くも八カ月が過ぎました。ということで、パリの映画を取り巻く状況を大学・映画館を中心に紹介したいと思います。

 まず大学で授業を受けて感じたことに、世界中の学生が映画を学びに来ているということです。それだけに、授業の量・質とも想像を超えるものがありました。本や雑誌で見かけたたりDVDの特典で解説をしている第一線研究者が教授として授業をやっています。

 授業は映画そのものを取り扱ったもの以外に(これだけでもたくさんの種類があります)、文学や演劇・建築などの隣接する学問領域との関連性を問うものがあり、映画にまつわる経済、社会学、テレビ作品等々数を挙げればきりがありません。

 そして、大学内には映画を定期上映する特別のホールがあります。そこでは週に十本観ることが出来ます。全作品は大学内で所蔵している本物のフィルムを上映しています。それだけに音声が聞き取りにくい時もありますが、レアなフィルムを大画面で味わえる醍醐味は筆舌に尽くしがたいものがあります。

 上映プログラムもまた、授業の内容に沿ったものや特別に企画されたものがあります。パリ現代美術館で吉田喜重監督のレトロスペクティヴがなされた時、監督と彼の妻で女優の岡田茉莉子さんを呼んで、作品上映・討論会が企画されました。また先行上映なども行われます。

 図書館には映画の研究資料が他の学問領域同様豊富にあり、視聴覚ブースでは授業で紹介された作品もすぐに観ることが出来ます。

 またパリには映画研究機関として、シネマテーク・フランセーズという国立の施設があります。そこでは映画資料の保管・収集・展示・上映をしています。ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちが足しげく通った映画館がもとになっており、それだけでも映画研究者や映画ファンにとって感慨深いものがあります。

 ここのフリーパスでは、上映はもとより試写会・展示・討論会・学会・映像図書館(貴重な作品も視聴可)が一年間無料で利用出来ます。国・時代・ジャンルを問わず、シネマテーク選りすぐりの作品が観られるのが魅力です。また、レトロスペクティヴでは特定の監督の全作品が一挙に上映されます。前回はハワード・ホークスで、着いたばかりの時は増村保造の特集がやっていました。

 街にも映画館が多くあります。UGC(映画の製作・配給・上映会社)の年間パスを買うと、小さな映画館でも提携のある館であればそのパスを使い映画を観ることが出来ます。それをうまく利用することで大作映画から作家性の強いものまで自由に楽しめます。

 パリの映画館は夜の10時や11時から上映しているところもあり、仕事帰りのサラリーマンや、夕食後にも気軽に映画を楽しむ環境があり、土曜日・日曜日には子供を連れや老夫婦が仲睦まじく映画を楽しんでいる光景をよく目にします。映画館で映画を観ることが日常の娯楽として受け入れられていることを強く感じます。

 更に、最近のパリでの映画体験として。『ロッキーホラーショー』を観る機会がありました。これは「B級」「カルト映画」と呼ばれるもので世界中に根強いファンがいます。パリでは、恐ろしいことに、毎週土曜日に上映がなされています。

 当日も観客は大入りで、映画館の前に長蛇の列を作っていました。スタッフは作中のキャラクターに扮し、スクリーンの前で歌ったり踊ったり、つっこみを入れます。やり過ぎの観も否めませんが、観客と一体に楽しむ上映スタイルはスペクタクルそのものと言えます。因みに、友達は水をかぶり途中トイレに避難していました。

 このように、パリでは映画を芸術として受け止め、且つ娯楽としても楽しむ習慣を感じることが出来ます。根本に研究者でなくても、ファンでなくてもふらりと立ち寄れる映画がまずある。日本ではどうでしょう? 帰国後考えたいと思います。

【執筆者紹介】
松本吉弘。関西大学大学院文学研究科 総合人文学科フランス文学専修 博士課程前期課程在籍。
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# by eizoubunka | 2008-05-30 00:37 | コラム
井土紀州監督上映会&講演会のお知らせ
 5月22日(木)と23日(金)に、関西大学千里山キャンパス凜風館4F小ホールにて、井土紀州監督作品の上映会と監督によるトークを催します。
 どちらの作品も、上映される機会の少ない刺激的な作品なので、ぜひこの機会にご来場下さい。(堀)

5月22日(木)
12:30 開場
13:00 『百年の絶唱』上映
※入場料800円

5月23日(金)
12:50 開場
13:20 イントロダクション
13:35 『LEFT ALONE 1』上映
15:20 監督によるトーク
16:25 『LEFT ALONE 2』上映
※入場無料

※会場は、下図の23番です。
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# by eizoubunka | 2008-05-20 23:45 | 専修からのお知らせ