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座談会「パリ映画生活」(その6)
6.映画三昧の日々

窪:久保君はこの半年近くですでに200本以上の映画を見たそうですが、特に印象に残っている作品は?

久保:やはり見た本数が一番多いので、若松孝二監督の作品が印象に残っていますね。1960年代後半の作品はあまり好きになれなかったのですが、1980年代以降の作品がすごく印象に残りました。内田裕也と宮沢りえがパリで探偵事務所をやっていて、ビートたけしが悪役で出演する『エロティックな関係』(1992)、原田芳雄、桃井かおり、若松映画常連の佐野史郎などが90年代の新宿の閉店するバーを舞台に彼らの60年代の闘争を振り返る『われに撃つ用意あり』(1990)、それぞれ父親が違う4人の姉妹が共同生活し複雑な関係とバブルの雰囲気を感じる『キスより簡単』(1989)が特に面白かったですね。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:06
座談会「パリ映画生活」(その5)
5.映画を見る環境

窪:では次に、映画を見る環境についてお話を伺いたいと思います。日本の場合、大阪と東京を比較しても、映画館の多さ、特集上映の頻度などに差があります。パリの映画環境はどのような感じでしょうか?

久保:映画館で映画を見る都市としてパリはやはり素晴らしいと思います。パリ20区内には約80の映画館がひしめいていて、シネコンもあれば、単館の映画館もあります。加えてシネマテーク・フランセーズやForum des imagesなどもあるので本当に映画館で映画を見る環境が整っています。上映する映画も多種多様で、日本よりも様々な国の映画を見れると思います。作品の種類としてはドキュメンタリー作品やコメディー作品が日本より断然多いように感じます。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:05
座談会「パリ映画生活」(その4)
4.パリにおける映画の研究と教育

窪:では次に、パリの大学でどのような映画の研究と教育が行われているのかという話に移りましょう。まず、パリのいくつかの大学での映画研究の概況についてお話ください。

堀:パリとその近郊には、パリ第1大学からパリ第13大学までの大学があるわけですが、映画を学べるのは、そのうちパリ第1、第3、第7、第8、第10大学ですね。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:04
座談会「パリ映画生活」(その3)
3.パリからヨーロッパへ

窪:ところで、バルセロナといえば国外旅行ですよね。日本で海外旅行というと贅沢で大がかりなイメージがありますが、安値でヨーロッパをまわることができるのもパリ滞在の利点かもしれません。

堀:その通りですね。パリはヨーロッパの鉄道網・航空網の要所の一つなので、フランス国内だけでなくヨーロッパ内のどこに行くにもアクセスが良好です。日本は島国なので、鉄道で海外に行くことは今のところありえませんが、パリからだとドイツ(の西側)、スイス、ベネルクス三国、そしてロンドンも、鉄道で気軽に行けるのが魅力でもあると思います。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:03
座談会「パリ映画生活」(その2)
2.パリでの生活

堀:久保君はもうパリの生活にはすっかり慣れたようですが、いざパリに来て生活を始めてみたときには、いろいろと戸惑うこともあったのではないかと思います。久保君はパリの13区、その中でもいわゆる中華街に住んでいるんですよね。

久保:はい、13区にある中華街に住んでいます。中華系のスーパーや中国料理店がたくさんあります。中華系のスーパーでは日本のお米に近い米や味噌、醤油、インスタントラーメンや海苔など日本人になじみ深いものもたくさんあり、その面では非常に助かっています。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:02
座談会「パリ映画生活」(その1)
座談会「パリ映画生活」を、6回に分けてお届けします(出席者:久保幸治、窪友里、堀潤之)。

1.留学に至るまで
2.パリでの生活
3.パリからヨーロッパへ
4.パリにおける映画の研究と教育
5.映画を見る環境
6.映画三昧の日々

はじめに

窪:この座談会では、現在パリに長期滞在中の久保君と堀先生に、映画を中心としたパリでの生活についてざっくばらんにお話しを伺いたいと思います。司会は、大学院の同期である窪が務めます。まず、ごく簡単に自己紹介をお願いします。

久保:関西大学大学院文学研究科総合人文学専攻映像文化専修M2の久保幸治です。日本では堀先生のゼミに所属し、主にフランス映画について勉強・研究をしています。修士論文では、フランスの映画監督ロベール・ブレッソンについて書きたいと思っています。2010年9月から、関西大学の交換留学制度を利用し、パリ第3大学の映画・視聴覚研究科に1年間交換派遣留学をしています。フランスに来たのは二度目で、大学2回生のとき、アンジェに約1ヶ月留学したことがあります。

堀:わたしは関西大学文学部の映像文化専修というセクションで、フランス映画を中心とする映画史・映画美学を講じています。2010年4月から大学から在外研究の機会を得て、1年間パリに来ています。2001年から2003年まで、久保君と同じパリ第3大学の映画・視聴覚研究科の博士課程ーー当時は、その初年度がDEAと呼ばれていたわけですがーーに留学していたので、およそ6年半ぶりのパリ滞在になります。今回はパリ第3大学ではなく、レイモン・ベルール氏にお世話していただいて、CNRS/EHESSのCRAL(諸芸術と言語についての研究センター)という組織に籍を置いています。

窪:申し遅れましたが、私は同じく堀先生のゼミに所属するM2の窪友里です。修士論文ではベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972)を取り上げました。久保君とともに、映像文化専修の大学院一期生です。

1.留学に至るまで

窪:さて、久保君がパリに行ってからもう半年近くが経とうとしています。そもそもどうしてパリに留学しようと思ったんですか?

久保:修士論文をロベール・ブレッソンについて書こうと思っていたので、フランスの方が当然資料がたくさん揃うと思ったのがまずあります。実際、こちらに来て学校や図書館、本屋・古本屋などで関連の本や雑誌などの資料が日本より容易に手に入ります。1950年代に出版されたブレッソンに関する本も、さっそく古書で入手しました。また、書物などを通じて聞き知っていたパリの映画文化の豊かさを実際に体験したかったということも理由にあります。さらに大学院入学前の時点で、留学をするなら同時期に堀先生がフランスにいらっしゃるかもしれないということを伺っていたので、それも留学を決意する後押しになりました。

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by eizoubunka | 2011-02-09 06:01